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アイヌ文化との触れ合い

少し前になりますが、夏休みに北海道へ行った時の想い出になります。
8月9日、白老にある「アイヌ民族博物館」を訪れました。

私は先住民族の文化や叡智にとても興味があります。
今迄、古代ハワイの文化や、ニュージーランドのマオリ文化と触れ合う機会があり、それぞれに自然に宿る神や地球、先祖を敬う姿勢に感銘を受けてきました。
その他にも、ネイティブアメリカンやケルト民族、アボリジニなどの音楽も大好きで、トリートメント中のBGMとしてもよく使っています。
最近では、縄文時代にも興味が湧いてきて、縄文遺跡や土偶などを見に行ったりしました。

しかし灯台下暗しで、アイヌ民族に関しては、これまで興味を持たず、知識が無かった事に気がつき反省しました。
今回は念願のアイヌ民族が大切にしてきた文化と叡智に触れることができました。
なぜ、今までアイヌ民族に関して無関心だったのか・・・?
おそらくアイヌ文化を意図的に消滅させた今迄の教育や日本文化の影響を受けていたからだと思います。
アイヌ民族は、今の東北地方の北部、秋田と仙台を結ぶ北部から北海道、樺太(サハリン)南部、千島列島にかけて昔から暮らしてきた、アイヌ語を使う集団だそうです。
博物館でアイヌ民族音楽や舞踊に触れたり、展示を見ながら思い出したのは 「月神の統べる森で」(たつみや章 作)という本です。
「天地のはざま」「月冠の巫王」「地の掟 月のまなざし」と四部作で、数年前に夢中で読みました。
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この本の中に「カムイ」という言葉が出てくるのですが、縄文時代の物語だと想像して読んでいました。
しかし、「カムイ」という言葉はアイヌの言葉だと初めて知りました。
本の挿絵に描かれる衣装などがアイヌ民族の衣装や文化をイメージしていることにも気がつきました。

帰りがけに博物館のショップに立ち寄り、想い出に素敵な絵本を一冊買うことにしました。
私は子供でも大人でもイメージを広げることができる絵本が大好きです。
数冊あった絵本の中から「ポロシルンカムイになった少年」という本を選びました。
レジスタッフの方がとても親切な方で、絵本の作者の先生がいらっしゃるからと呼びに行って下さいました。
作者の方は、中村 齋先生といってアイヌ博物館館長、札幌国際大学の講師もお勤めになられた方です。
絵本にサインをいただき、中村先生が書かれたアイヌ民族博物館の展示解説の資料までいただいて、大変貴重な想い出ができました。
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「ポロシルンカムイになった少年」はアイヌの人々に伝わるウエペケレ(散文の物語)です。
「ポロシルンカムイになった少年」には、思いやりに溢れた「アイヌ=人間」のあり方と、身近に存在するカムイとの関係性が描かれています。
カムイとは、宇宙に存在するアイヌ(=人間)以外の全てのもの。
植物、動物、鉱物、雨、風、地震などの自然や自然現象も全てがカムイです。

自然への尊敬の念、思いやりも描かれています。

先生の資料の中に、アイヌの子供たちは親を真似て大きくなるとありました。
現代は子供と大人の間に大きな隔たりがあると感じます。
実際私も、子供から大人になる境目ははっきりいつかとは言えませんし、大人になってからも子供心があります。
子供も無知ではなく、一般常識はまだ不十分でも、叡智を既に知っているかのように感じることがあります。
アイヌの子育ては、女の子はお母さんについて、男の子はお父さんの手伝いをして育っていきます。
生活そのものが立派な大人になるための練習だったのだそうです。
「ポロシルンカムイになった少年」は親子の深い愛がベースに流れている絵本です。
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アイヌ民族が日本国に支配され、受けた三つのダメージは
1、土地が取り上げられ、生業ができなくなったこと。
2、アイヌ民族ではいられなくなったこと。
3、植民地で移住してきた沢山の日本人から軽視、侮蔑、嘲笑、差別を受けるようになったこと。
だそうです。文化を失い、人権を奪われ、生活が困難になりました。

このように、世界の色々な場所で先住民族達は支配され迫害されて、尊い文化や叡智を奪われています。
今日「ルンタ」というチベット人の心を描くドキュメンタリー映画を観ました。
チベットも人権も土地も奪われ、文化も失われつつあります。
心優しき、精神性の高い民の、非暴力の戦い。
アイヌが日本国に支配された歴史と共通したものを感じました。

先日、中村齋先生に絵本の感想文をメールしました。
お喜び下さってすぐにご返信をいただき、とても嬉しかったです。

「民族の自立に関しては、まだまだ私たちの力不足で、思うような結果には至って居ませんが、博物館の展示を通して、アイヌ文化が内包する、人間の緒言的本質と、文明に対する痛切な提言とが理解されることが多くなりましたので、私たちの存在意義があるものと、勇気づけられます。本当に有難うございました。あなたのメールは保存して、時々再読し、私の生きるエネルギーとさせていただきます。」 ・・・中村先生からのメールです。

私の方こそ、先生のメッセージを直に伺うことができたこと、とても感謝しております。

※「私のアイヌ民族博物館展示解説」中村 齋 著 参照